兄弟のケアと、チーム”3人”

先日、当ブログにご訪問頂いている方(いつもありがとうございます!)から「3人がチームに見える!」というお言葉を頂いたのですが、なんだかとてもシックリくるというか、目からウロコというか、ハッと気付きを得られた気がしました。

特に我が家のように知的障害を伴う子の場合は、兄弟との精神年齢差は開くばかり。そんな子供達とどのように向き合っていこうかというのはまさに当ブログの命題ですが、今回は「発達障害のある兄弟を持つ定型発達の子のケア」という点についても触れてみようかと思います。

 

「子供二人と親一人」ではなく・・・

中人

傍から見れば、「子供二人連れの父親」ですが、私自身はそのように思ってはいません。チビワンとチビツーを同列には扱えないからです。むしろチビワンを「限られた範囲のことはできる”中人”」という扱いをしています。

「中人」という表現、私は造語的な言い回しをしたつもりだったのですが、あるんですね、そういう言葉。もっともここではただの「小中学生」という本来の意味以上の位置付けの言葉として使っていますが。

もちろんチビワンは8歳の小学二年生、体も小さければ筋力も大人には敵いません。知恵・知識の量は言うまでもなく、人生経験も圧倒的に不足しており、大人としての責任を全うすることなど当然不可能です。なので一人の大人としての振る舞いを期待するなどそもそもナンセンス。チビワン自身が成長過程のど真ん中にいて、色々なものを積み上げている真っ最中なのです。(下の写真はケルンを積み上げている真っ最中(笑)@大菩薩嶺)

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ですが「チビツーのそばに付いててもらう」ということをしてもらえるだけでも、知的障害児の親としては非常に心強い存在なのです。

例えば切符やチケットを買うための1分、どこかの建物でトイレで用を済ます1分。チビツーを連れて行けるようなところであればそうしますが、そうも言ってられない場合も多々あります。チビツーの場合、場所によっては1分どころか十数秒でも目を離そうものならロストする可能性は十分にあります。

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人に執着しないという怖さ

定型発達の子であれば、親を見失って泣いてくれれば泣き声が探知機のアラートになってくれます。もとより見失っても短時間であれば大声でその子の名前を叫べば返事をしてくれる可能性も決して低くはありません。

が、チビツーは親を見失っても気にすることはありません。スタスタと気の赴くままに歩いて行ってしまうのです。そして親の呼びかけに「はーい!」と返事してくれることはありません。なので一度見失ってしまうと、たとえ店の中の商品棚一つ向こう側に居たとしても我が家では失踪事件になりかねないという緊張感があります。ここに、”人に執着しない”という発達障害児の怖さというものがあります。

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親が常に二人いればこんなことで悩むことはありません。危険性は付きまとうことに変わりはありませんが、悩みの種にはなりえません。しかし我が家の場合はそうはならないので。ゆえにチビワンの存在が本当に心強いのです。

 

兄という存在

“人に執着しない”という面が強いものの、幸いにも私という”親”に対してマイナスイメージは持っていないようで、くすぐりごっこや追いかけっこではケタケタと笑いながら遊んでくれます。

しかしながら、療育センターの通園課だけでなく日々の生活でもチビツーには一緒に遊ぶお友達という子が実質いません。人に執着することもなく言葉も通じず、年相応の遊びができるわけでもないのですから当然と言えば当然かもしれません。

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そんな中で、チビワンという”兄”が相手をしてくれるということはとても有り難いことで、親とは違う愛情をチビツーは感じているはずです。”兄弟”というチビワンの存在は、ここでも大きな存在なのです。

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お兄ちゃんのケア

一方で定型発達のチビワン。

発達障害児の親の苦労について語られている場は多くありますが、定型発達の兄弟について語られることは(相対的に)少ないという認識があります。

普段の生活では、どうしてもチビツー優先にならざる得ないことが多くあります。お出かけ先を決めるにしても「チビツーと行けるかどうか」という条件をクリアしない限りは行くことができません。そして例えば公園に行ったとしても、だだっ広い公園であればチビツーから離れるわけにはいきません。気持ちの良い広場でチビワンとサッカーしたり、じっくりアスレチックで一緒に遊んであげることもできません。

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いくらチビワンに他人想いの心があったとしてもそれは無限ではありません。ましてや遊びたい盛りの年ごろです。年相応の遊びもしたいでしょう。サッカーや自転車、最近ハマり出したボーリング、(親としてあまり快諾したくはありませんが)ゲームセンター、プールや遊園地、雪遊びやキャンプその他アウトドアアクティビティ。挙げればキリがありませんが、本来はもっと叶えてあげられることは多かったはずです。

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譲歩してくれるチビワンの優しさはとてもありがたいのですが、一方で、色々なことに「一歩引いてしまう」ようにならないか、一抹の不安はあります。小学校の担任の先生もそのようなことに少し触れていました。

3人の中でもキーパーソンとなる重要な存在であり、そしてチビワン本人にとっても大事な多感な時期だからこそ、定型発達の兄弟の子には可能な限りのケアが必要なのです。

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なので、少しでもチビワンと二人で向き合える時間があるのであれば、それはすべてチビワンとの時間にじっくり使いたいと思っています。幸い、最近は知的障害のあるチビツーを預かってくれる一時ケア施設の利用登録ができ、チビツーも大いに気に入ってくれているようなので安心して預けることができ、有効に活用してチビワンとの時間を創出するよう心掛けています。

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チビワンと二人でじっくり向き合っている時に見せてくれる表情は、3人で過ごしている時とは別のもの。表情に優劣があるという意味では決してありませんが、やはりその子の望むアクティビティを行っている時は、自然と年相応の活き活きとした表情をみせてくれることが多いです。

そして何より、チビワンは私の登山史において一緒に山行したことが最も多い頼もしい”バディ”的存在。本当にありがたいことです。

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今年はチビワンにとって初めての雪山らしい雪山登山となる入笠山(南アルプス)にも登頂してくれました。

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チーム”3人”

3人で過ごすことが多くなったのはチビツーが離乳した頃からなので、もうかれこれ4年半近く経ちます。今でも土日のお出かけはもちろんですが、平日も半分以上は3人で過ごしています。私が欠けることはもちろんですが、チビワンが欠けても成り立たなかった、まさにチーム”3人”。本当に色々な所へ出かけ、沢山の思い出を残してきました。

屋内パークに博物館に水族館、屋内だけでなく本当に多くの公園にも行きました。我が家は車での移動が中心ですが、バスや電車、そして船までも使い、自然豊かな海に川に山に。

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登山好きの私にとって、3人で山に行けることはソロ登山とは違った楽しさも教えてくれました。
チビツーを背負って初めて3人で登頂した日(金時山)、

 

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チビツーの自力登頂を目指したものの、山頂直前で力尽きてしまった日(陣馬山)、

 

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そしてチビツーが自力登山の悲願を果たした日(明神山/鉄砲木ノ頭)。

山好きにとって、子供の成長をお山で見れる喜びに勝るものありません。それら一つ一つの瞬間を3人で共有してきました。

本当に沢山の色々な出来事を共有しました。そしてこれからも続いていきます。そこには”家族”とはまた違ったカタチの強い絆があります。まさに”ONE TEAM”(あー、言っちゃった・・・)。

3人の中ではチビワンがこれから最も変化を見せることでしょう。年齢を重ねるにつれ、より家庭の中よりも外でのコミュニティの中での世界が中心になっていくことでしょう。親としては少々寂しい気もしますが、成長には欠かせないことです。正直このチーム”3人”がどのようになるかはわかりませんが、きっとこの絆は強く続くことだと思います。

二人の子供達には、親としての愛情だけでなく感謝の気持ちも抱いています。もちろん、不安にさいなまれたりイラついたりブチキレたりブッチキレたりブッッッチキレたりすることは多々ありますが(笑)、それでもこの子たちのお陰で、私は彩りのある人生を過ごすことができ、また支えられてもいるのです。

2 件のコメント

  • 多感な時期の子どもとの接し方。
    真剣に向き合わなければいけないとは思いつつ、なかなかいつもは難しいです。
    うちの子は、弟が少し成長が遅れている感じ。(精神的に1歳くらい遅いような気がします)
    発達障害とまではいかないのかもしれませんが、妻はかなり心配しています。
    そんな中で、どうしても普段からお兄ちゃんより、手のかかる弟の方をみてしまいがちで・・・
    どのように向き合っていけばいいのか迷いながら、反省しなきゃと思う事もあります。
    shoytomoさんを見習わなきゃですね^^

    • そうなんですよねー。
      どうしても下の子ばかりに目を向けて、お兄ちゃんに目を向けるときが叱るときだったりして、
      我が家ではこれほど”チーム3人”に貢献してくれているにもかかわらず、
      話す時は叱るときだけ、みたいなことになってしまうと、あまりにもお兄ちゃんに不憫ですからね。
      褒めるときもしっかり褒めてあげないと・・・と、思いつつもついつい疎かになってしまいます。
      親としてのキャパというか器の小ささに反省を「毎回繰り返す(笑)」日々です。。。
      発達に関しては、たとえ少しの遅れであろうとも心配をしてしまうのが親心です。
      やれることがないわけではありませんが、こればかりは時間との戦いというところも大きいでしょう。
      親という立場というのも大変なものですね。

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