自粛生活の傷痕とリスパダール服用の顛末記

前回の記事でも書きましたが、自粛生活下での我が家の最大の痛手はチビツーへのストレスでした。

あれから約3週間。ようやく神奈川県でも緊急事態宣言が解除されましたが、チビツーのココロには深い傷を残すことになりました。

自粛生活下での知的障害児のケア

2020.05.05

※2020/7/29、後日談②追記しました。

※2020/6/24、後日談①追記しました。

 

軟禁状態?の自粛生活

私が普段常駐している顧客先では、3月から実質100%テレワークが許可されたのですが、自宅にいるとチビツーは確実に私に「遊んで遊んで!」言わんばかりに絡んできます。

もちろんチビツーに言葉は通じないので遊べない理由も説明できず、突き放そうものなら大泣きされるし、一度相手にしてしまうと際限なく「もう一回!」となってしまうため、自宅から20分程度の事務所で作業をしていました。ここなら他人との接触も無く邪魔されることも無いので。

ただ、結果的にチビツーが外に出ることはほとんど無く、一日中家にいるということもかなりの頻度で続きました。外出自粛とはいっても気分転換の散歩まではNGとされていませんでしたので「もっと外に連れて行ってあげられれば」とも思いましたが、そこは私が仕事で家を出ていた以上は何か言える立場にはありません・・・。

 

Canon EOS 5D Mark IV f/1.4 1/640sec ISO-1250 35mm

基本的にチビツーは外で歩き回り走り回るのが好きなんですよ。ただでさえクリエイティブな遊びができないので、家の中のエンターテインメントは本当に限られるのです。そんな状況はチビツーにとっては軟禁状態のようなものだったのかもしれません。

 

加速した易刺激性

Canon EOS 5D Mark IV f/4 1/640sec ISO-100 44mm

自粛生活は易刺激性をさらに加速させてくれました。

引き続き理由もわからず突然泣き出すことはもちろんですが、自傷行為(とまで言うかどうかは微妙ですが)叫びながら両手で太腿を何度もたたいたり、髪の毛を引っ張ったり、だれかれ構わず指に噛みついたり・・・。

 

Canon EOS 5D Mark IV f/5.6 1/640sec ISO-200 64mm

笑顔を見せたと思った瞬間にガラリとギャン泣き、そして数分後には満面の笑顔だったり。

 

Canon EOS 5D Mark IV f/1.4 1/250sec ISO-1250 35mm

明らかに易刺激性が強くなっていました。

 

抗精神病薬”リスパダール”

今年に入ってから4ヶ月ほど服用を続けていたエビリファイ。服用を続けている間も精神の不安定さが解消されることは無く、都度都度先生と相談して服用量を増やしたものの、むしろ状況は悪化していくばかり。「服用したから悪化した」と思うことはありませんが、むしろ「自粛生活による悪化のスピードに、エビリファイ増量の速度が追いついていないのではないか?」または「エビリファイそのものがチビツーには合わないのではないか?」と次第に思うようになりました。

チビツーの変化とエビリファイの服用開始

2020.01.22

Canon EOS 5D Mark IV f/4 1/640sec ISO-200 70mm

結果、5月末からはリスパダールの服用を開始することになりました。

エビリファイと並び「2大巨塔」と称されるリスパダールは、”マイルド”なエビリファイに比べて”パンチが強い”とのことです。もちろんそれは諸刃の剣となる可能性もあるので、副作用の影響には十分留意する必要があることになりますが。

まずは2週間ほど毎日服用して経過観察をすることになりました。0.2ml×2(朝/夕)です。

 

笑顔を絶やさずに

果たしてこのリスパダール服用によりチビツーにはどのような影響がるのか、良くも悪くも気になるところではありますが、最近思うのは、総じて親の願いとして「チビツーの笑顔を絶やさないこと」に繋がってくれるのであれば何だっていい!ということ。

Canon EOS 5D Mark IV f/5.6 1/640sec ISO-160 70mm

5月に入ってから、特総センター(特別支援教育総合センター)とのやりとりも始まりました。チビツーの来年度の就学に向けての活動です。

チビツーは間違いなく、定型発達の子とは別の進路を歩むことになります。将来を考えれば進学・就職など、親としては色々悩ましいことは多々ありますが、どんな人生を歩むとしても笑顔に溢れていれさえすればきっと幸せなんじゃないかと。

 

Canon EOS 5D Mark IV f/5.6 1/640sec ISO-160 70mm

チビツーは言葉を理解できません。知能も赤子と何ら変わりません。ゆえに「嘘をつく」こともできません。でも嬉しい、楽しいといった時に笑顔を見せることはできます。

嘘のない笑顔――。

これ以上にわかりやすい幸せな気持ちの表出の仕方は今のチビツーには存在しないでしょう。ゆえにこの子の笑顔を絶やさないことが、親としての命題なのです。

 

後日談① ※2020/6/24追記

0.35ml×2(朝/夕)へ

その後様子を見つつも、やはり薬の効果と思われるものは出てきませんでした。少なくとも突然の癇癪は出るときは出るし、機嫌の良いときはすこぶる機嫌が良い。

療育センターの先生にそのことを相談し、服用量を0.35ml×2(朝/夕)へと増やすことになりました。

そして6月に入ってからは少しずつチビツーの落ち着きが見え始めたのですが、これを薬の効果と判断するには少々難しい状況でした。分散登園も始まり少しずつ元の生活リズムが戻りつつあったので、そのことがチビツーの安定に繋がったと考えられなくもなかったからです。

 

効果測定の提案

前回のエビリファイでは、用法・用量について、先生または薬剤師の言っていたことしか頭に入れていませんでした。チビツーの年齢・体重などからそもそもどこまでの量を服用できるのか把握できていなかったのです。

実際は服用可能な量の3分の1の量すらも飲んでいなかったので、増やせば少しは効果が変わったのでは?ということを確認できないままリスパダールに移行してしまったのが少々心残りでした。

そこで、リスパダールでも同じ轍を踏まないよう、先生に次のような提案をしました。赤文字部分が肝です。

リスパダール効果測定の提案
  • チビツーの年齢および体重から、1日の最大服用可能用量(1mL/日)にほぼ近い量をすでに服用しているので、これ以上は増やさない。
  • 7月になると療育園のスケジュールも通常運転に戻る。その一ヶ月は生活リズムがほぼ一定なので、リスパダールの服用量を「今まで通り」「半分に減らす」「ゼロにする」の3段階に分ける
  • その結果を見て、効果測定としたい。8月には夏休みに入りリズムが一定でなくなるので、7月中に実施したい。

この提案は全面的に受け入れて頂けました。療育園側の先生とも連携して各服用量パターンごとの様子も見てもらうことに。

この効果測定の結果をもってリスパダールとの今後の付き合い方を考えていこうと思いました。この続きはまた7月末ごろにでも。

 

後日談② ※2020/7/29追記

上記効果測定の結果を先生に伝えてきました。

結果としては・・・

   チビツーにはリスパダールの効果なし

ということになりました。
リスパダールの服用量を「今まで通り」「半分に減らす」「ゼロにする」の3段階に分けて様子を見てきましたが、いずれもチビツーの様子に大きな変化は見られませんでした。

もちろん、癇癪がゼロになったわけでもありませんが、以前からあった癇癪と変わらないものでした。先生との結論も「薬ではなく生活環境によるところが大きい」に行きつきました。

やはりコロナによる自粛生活によって日々のリズムが崩されたことが大きかったのでしょう。

元々の癇癪は、やはり周囲が見れるようになったことで自我が強まったということで間違いなさそうです。その上で自粛生活による生活がストレスを大きくしていたものと思われます。

現在は、周囲が見れてきたことにも慣れてきた上に、制約の無いいつもの生活リズムに戻ったことにより、機嫌は普段でもかなり上々です。周囲が見れる=成長の一つであり、脳が発達する⇒睡眠時間も長くなるということで、ここ最近はロゼレム(睡眠誘導薬)すらもほとんど飲まなくなりました。総じて大きく嬉しい成長を遂げてくれたと実感しています。

リスパダールの効果については、個人差がとても大きいため、我が家のチビツーにとってはたまたま「効果なし」となったに過ぎません。

また、効果の出方も人それぞれなので、効果測定についてはその人それぞれのやり方があると思っています。今回私が採った効果測定方法もあくまで一例ですが、見極め方の一つの例として参考になれば幸いです。