社会性の芽生えとメラトベルの服用開始

4月からは進学し、支援学校(養護学校)やデイ(放課後デイサービス)に通うようになったチビツー。学校でもデイでも、連絡帳では「すこぶる元気でニコニコ」という内容が毎日記されていて、それはそれでとても嬉しく思います。

ただ一方で、家庭では以前のように元気にお出掛けするという感じではなく、どこか不機嫌になったり泣いてしまうことが多く、外(学校&デイ)と中(家庭)で大きなギャップが出てきているようでもありました。

解決の鍵となるかもしれないチビツーの「睡眠」について、今まで服用していたロゼレムとは別の入眠改善薬「メラトベル」の服用を開始することになったので、色々備忘録として残しておきます。

(ちょっと前半の前置きが長くなりますがご容赦ください・・・)

※6/27、経過観察①の詳細追記しました。

 

実は溜まっていた?精神的ストレス

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/160sec ISO-2000 50mm

新しい環境というのは定型発達児であっても大いに緊張するものです。上の写真はチビツーの養護学校入学時のもの。チビツーにしてみたらワケもわからず初めての場所で連れまわされてワケがわからない、という感じだったと思います。この写真はまだマシなほうでしたが、入学式では終始緊張している様子が窺えました。

ただ、入学後は驚異的な速度で新生活に慣れていったという側面もありました。当初は教室の隅で様子を窺いながらという感じですが、一週間も経った頃には笑顔も増え、元気に走り回るようになりました。デイにおいては「3~4ヶ月は通ったかのような慣れ具合」という連絡も頂きました。

ところが、4月末になってチビツーの頭部に円形脱毛が見つかりました。1cm弱の小さなものですが、チビツーの髪を洗って毎日ドライヤーで乾かしている私はすぐに気づきました。学校やデイでは楽しんで頑張っている一方で、本人も気付かないストレスを抱えているのではないか?と。

さらに5月の連休明けからは、学校やデイではすこぶる好調でありながらも、家庭では癇癪や啼泣が多くお出かけにも消極的になるという事態になってしまったのです。

 

ON/OFFの切り替えは社会性の芽生え?

Canon EOS 5D Mark IV + EF24-70mm f/4L IS USM f/4 1/640sec ISO-200 50mm

「学校やデイでは優等生。元気&笑顔でよくがんばっている」と評されながらも、「家では癇癪&不機嫌」という状態は、発達障害児ではよくあることのようです。

発達障害のあるお子さんを持つ親御さんとあまり踏み入った話ができない(時間的にもご時世的にも)ので知らなかったのですが、発達障害がテーマのSNSであるリタリコ発達ナビではこういった話は本当によく耳にしていました。

そしてON/OFFの切り替えについて、学校の先生や医師からは「ON/OFFの切り替えは社会性の芽生え」と肯定的にとられることが多く、その一方でOFFの部分を家庭だけで負担しなければいけないことによる辛さ・ジレンマがあることも知識としては頭に入っていました。

とはいえ重度知的障害のあるチビツー、「身辺自立もまともに出来ていないのに社会性なんて?」と思っていたのですが、状況からするとまさにドンピシャリ。チビツーはチビツーでの社会性が芽生えてきているのだなということを認めざるを得ませんでした。

ここ最近のお出かけでの消極的な様子もまさにそれを物語っているように思えました。

仙元山~充電前の快晴山歩~

2021.05.23

 

Canon EOS 5D Mark IV + f/4 1/640sec ISO-3200 50mm

とはいえ、やはりOFFである家庭においても不機嫌であるよりは機嫌よく過ごしてもらいたい。チビツーはもちろん、チビワンや私にとっても関係することなので。

そこで、過去1ヶ月程度のチビツーの記録(その日の行動・感情や疲れ具合、睡眠時間など)を洗ってみることにしました。

 

睡眠の〝時間と質〟がカギ?

Canon EOS 5D Mark IV + EF35mm f/2 IS USM f/2 1/160sec ISO-640 35mm

過去の様子を辿ってみると、睡眠時間については特に波が大きく、以下の要素が見られた翌日はあまり家庭での様子が芳しくないという傾向がありました。

  • 入眠時間が遅い
  • 睡眠時間が短い
  • 途中覚醒や早朝覚醒がある

実際、チビツーは入学前からも9時間程度は睡眠を必要としていました。学校やデイは今までの療育園(療育センター通園課)とは活動空間も活動時間も桁違いな上、ただでさえ元気に走り回っているのですから、今までと同じ9時間で十分だとはとても思えませんでした。

さらに、「学校やデイが楽しい」というのは望ましいことですが、その興奮が夜まで続く⇒高揚して寝つけない⇒体は睡眠を必要としてるのに眠れない⇒そのストレスでイライラしてされに眠れない、という悪循環も多かったのです。

ストレスの原因は「不規則な睡眠時間」と「睡眠の質」にあるのではないか?という推測に至りました。

どうしても「登校」という決まったスタート時間があるために、入眠が遅くなったり途中覚醒があると否応なしに睡眠時間が削られてしまいます。これを何とかしたいという思いから、療育センターのチビツーの主治医の先生に相談することにしました。(もちろん感情の起伏は睡眠時間だけで語られるものではありませんが、可能性の一つを潰せるならという思いがありました。)

一方で、早い時間からの入眠や長時間睡眠は、障害児育児をする親にとっての負担軽減にもつながります。障害児本人と同じく育児をする親にとっての負担軽減効果も同じくらい期待しています。

 

入眠改善薬「メラトベル」

日本では2020年に承認された新薬

療育センターの主治医の薦めもあり、服用薬は今までのロゼレムではなくメラトベルという薬を処方してもらうようお願いしました。

メラトベルの成分は「メラトニン」で、これは体内で生成されるホルモンそのものです。メラトベルは日本では承認されてから日が浅く(2020年3月承認、同6月販売開始)、”新薬”という扱いだったため2週間という処方日数制限がありましたが、2021年6月から解禁となり2週間以上処方できるようになりました。

本記事執筆時点(2021年6月中旬)の情報ですが、コロナ禍の影響で1ヶ月以上の処方も許可されたため、在庫が確保できないという事態も一部で起きているようです。

ロゼレムとの違い

ロゼレムはメラトニン受容体に作用する薬ですが、メラトベルは体の中でつくられる「メラトニン」そのものが有効成分なので、より自然に作用し睡眠を促してくれます。

またロゼレムは本来は成人向けの薬ですが、メラトベルは6〜15歳の自閉スペクトラム症やADHDなどの発達障害のある子どもにのみ認められています。つまり、より発達障害児向けに特化している薬と言えます。

主治医の話によれば、ロゼレムに比べて入眠までの時間が早くなるのはもちろん、睡眠の質自体の向上(途中覚醒や早朝覚醒の抑止)も期待できるとのことでした。特に後者は「まさにこれだ!」と私が望んでいた効能でもありました。

早速薬局で処方してもらおうと思ったのですが、前述のように在庫が確保できていない薬局が多く、手元に届いたのはそれから2日後でした。

メラトベルをはじめとする入眠改善薬は睡眠障害のあるお子さんにとって効果的な薬ではありますが、薬だけで改善しようとはしないで下さい(これは処方する医師からも必ず指示があると思います)。

起床と同時に日光を浴び、日中はなるべく体を動かし、湯舟で体を温め(熱すぎるのはNG)、夜は暗くして早めに就寝するなど、良い生活・睡眠リズムづくりを意識することが大切です。

チビツーが日中に学校やデイでしっかり動き回っているからこそ、メラトベルの服用が効果的に作用するものだと思っています。

 

服用後の様子

届いたその日の夜から、早速服用を開始しました。服用後のチェック項目として以下を記録することにしました。

メラトベル服用後のチェック項目
  1. 服用時刻
  2. 入眠時刻
  3. 翌日起床時刻
  4. 睡眠の質(途中覚醒の有無、寝起きの様子)
  5. 翌日の活動の様子(学校/デイ/家庭)

 

経過観察① 2021年6月12日~:0.25mg

用法によれば使用開始は0.5mgからとなっていますが、主治医の話だと実績では0.1mgでも効く場合は効くとのこと。メラトベルは6歳から処方が可能なので、チビツーにとっては年齢の最低ラインということもあり、まずは0.25mgから始めることにしました。

メラトベル服用の副作用の例として多いのが、効果がありすぎて眠気が抜けなくなるというものがあるそうです。これはこれで問題になるので、まずはスモールスタート、必要であれば増やせば良いかなという感じで開始しました。

※以下は6/27追記。服用開始からの記録です。スマホだと横向きにしないと表の右半分が見れません。スミマセン。。。

日付 服用
時刻
入眠
時刻
翌日
起床
途中
覚醒
睡眠
時間
翌日の様子
覚醒 学校 デイ等 帰宅後
6/12() 20:45 21:00 7:00 10:00 自然 良好 良好
6/13() 20:40 20:50 7:20 2h 8:30 強制 良好 良好 良好
6/14(月) 20:45 21:00 6:30 9:30 自然 体育で涙 良好 良好
6/15(火) 20:55 21:15 6:20 9:05 自然 良好 良好 良好
6/16(水) 20:55 21:05 7:15 10:10 強制 体育で涙 良好 15分啼泣
6/17(木) 20:55 21:10 7:10 10:00 強制 昼前号泣 良好 良好
6/18(金) 20:55 21:05 7:45 1h 9:50 自然 良好 50分啼泣
6/19() 20:55 21:10 5:30 8:20 自然 良好 寝付き悪
6/20() 21:00 21:25 5:55 8:30 自然 朝から涙 良好 若干荒れ
6/21(月) 20:55 21:20 3:55 6:35 自然 所々で涙 良好 若干荒れ
6/22(火) 21:00 21:15 6:15 9:00 自然 良好 20分啼泣 良好
6/23(水) 21:00 21:10 4:50 7:40 自然 バスで涙 良好 良好
6/24(木) 20:50 21:10 6:00 8:50 自然 良好 間食後啼泣 良好
6/25(金) 20:55 21:05 7:15 8:30 自然 良好 良好 寝付き悪
6/25() 20:50 21:10 8:00 2.5h 8:10 自然 AM癇癪

 

という実績でした。考察としては・・・

初回服用後2週間の考察
  1. 入眠は平均して服用後15以内
  2. 1週目はほぼ9時間半以上睡眠。2週目は早朝覚醒が大半
  3. 週に1~2回は途中覚醒あり
  4. 睡眠時間に関係なく機嫌が悪いときは悪い

といったところでしょうか。入眠効果(①)は一定して有効で、ロゼレムよりもやはり効果は良いと思います。ただ、睡眠の質(②,③)に関しては2週目を見る限りではほとんど効果が無いようにも思えます。なぜ一週目と二週目でこんなにハッキリと違いが出るのかが不明ですが、このまま途中覚醒・早朝覚醒が続いてしまうのは困りものですね。
一方、機嫌に関しては「悪いときは悪い」(④)。睡眠時間に関係なく悪いときは悪い。これは少々残念だったような。とはいえ、睡眠時間が少ない二週目は普段は良好なデイでも啼泣が見られたので、全くの無関係ということでも無いような気はしています。

引き続き、様子を見て行きたいと思います。