チビツーの陣馬山リベンジを掲げてから一年以上が経過してしまいました。何だかんだでタイミングが合わずダラダラと先延ばしにしてしまいました。10月はただでさえ台風や記録的豪雨に泣かされましたが、この11月という登山に適したシーズンを逃してしまうと一年単位でコトが遅れていくことをひしひしと実感しました。
ようやく、あらゆる都合がよさそうな日が出てきたので、陣馬山リベンジ前の足慣らしに横浜市最高峰の大丸山(おおまるやま)にまた登ってきました。大丸山はチビツーが初めて自力で完歩したお山でもあります。あれから一年、今のチビツーにとってどの程度の難易度のお山に変わったのか、その目で確かめてみることにしました。
目次
大丸山
基本情報
横浜市の栄区と金沢区の区境にある、横浜市最高峰の山(156.8m)です。横浜自然観察の森の中にあります。山頂からは金沢方面と横浜の湾岸部を見渡すことができます。
※約一年前にも当サイトにて紹介していますが、台風による影響や工事区間の変更などがありましたので基本情報を再度記載します。
ハイキングコースのマップ(公益財団法人・日本野鳥の会発行)はこちらです。
円海山周辺のハイキングコース(横浜市発行・2019年版)はこちら。
台風15号、19号の影響により、マップ上で工事が行われていなくても通行止めの箇所が点在しています。当記事で歩いたコースは2019年11月10日時点では通行可能となっていますが、その他のコースについては十分に事前確認してから散策してください。
バリアフリー情報
自然の中のハイキングコースです!残念ながらバリアフリーは期待できません!
とはいえ一般的な登山道とは異なり、ベンチなどは多数あります。また当記事で紹介するルート上にはトイレは下記の三か所にて利用可能です。
- 上郷・森の家別館のトイレ
- タンポポの道終点付近のトイレ(※多目的トイレ)
- (わずかにルートから外れますが)自然観察センターのトイレ
マップを見るとわかると思いますが、トイレは比較的スタート地点に集中しています。山頂およびその付近ではトイレは無いので、念のために携帯トイレなどを持参することをオススメします。
お出かけ難易度
難易度:★★★★☆(4)
本格的な登山ほどではありませんが、自然の中のハイキングコースを歩くという負荷のかかる行為です。予測が難しい自閉症の子にとっては色々なリスクが伴うので最悪、抱っこやおんぶをして引き返すことも覚悟しなければなりませんが、達成感は非常に大きいものになると思います。
リニューアルオープンした上郷・森の家からスタート
2019年7月にリニューアルオープンした上郷・森の家。別館のほうは基本外観は変わっていないようです。別館の駐車場に車を停め、別館裏手の通路「木の香坂」を歩きます。
駐車場は普通車100台駐車可能。500円/1日です。詳細は公式サイトを参照下さい。
裏手の通路。私も子供たちも風邪というほどではありませんが体調は低空飛行気味なので、少し重ね着多めで臨みました。
一年前はチビツーの出鼻をくじいた階段ですが、今回は機嫌を崩すこともなく登り切ってくれました。幸先の良いスタートです。
階段を登りきると、さっそく横浜自然公園の森への入り口となります。ここからはしばらくフラットで一直線の舗装路です。
チビツーは左右どちらかの道端により、路肩に自生する草花に手を当てては感触を確かめているようです。
黄葉が進み始めている場所もありますが、このあたりの最盛期はあと一か月ほど先になります。
出だしは上々ですね。一年前はすでに”釣る”ためのおやつが必要でしたが、結局最後まで”食べ歩き(笑)”は不要でした。
猫じゃらしなどの感触は特に気になっていたようです。ここ一年を振り返ると、チビツーの大きく変わったところとしては”触感”ではないでしょうか。あらゆるものを指でコンコンと叩いてはその感触を確かめるようになりました。これも自閉症特有の”こだわり”に含まれるのかもしれませんが。
最近の口癖は「どーでぃ」(笑)。最初は「ダディ」のように聞こえてました。
こうやって後ろを歩いていると二人の身長がこの一年で伸びたなぁと思います。
ちょっと比較しにくいですがこれが一年前。
いったい何の活動をしているのか全く想像できない「雑木林ファンクラブ」ですが・・・
チビツーもそんな思いだったのでしょうか?(笑)
(※実際は炭焼き窯として使われているそうです。)
チビツーと一緒の時はいつも「着いてきてくれる」感があるチビワン。それでも笑顔を見せてくれるのですからありがたいことです。
この辺りはこれから秋本番を迎えるはずですが、葉の散ってしまった気を見るのは少々さみしい気持ちにもなりますね。先日の台風の影響でしょうか?
ススキ。猫じゃらしといい、こういったフワフワモフモフな触感が良いのでしょうね。
ビートルズトレイルと、失速。
円海山周辺のハイキングコースにはいくつか名前が付けられていますが、メインストリートとなるのはこのビートルズトレイルです。大丸山もこのコースの途中にあります。
毎度おなじみヘイケボタルの湿地までやってきましたが・・・
おっとさっそくこのポーズ。必ずしも疲れた時にこの態勢になるわけではないですが、大方その場合がほとんどです。行程としてはまだ半分程度なので、もう少し頑張ってもらいたいところではありますが・・・
が、とりあえずはすぐに行動再開してくれました。湿地内の木道で多少の気分転換にもなったでしょうか。
湿地もあっさりと抜け(笑)、黙々と歩きます。
黙々と・・・
真剣なのか疲れて口数が少ないのか、言葉でのコミュニケーションが取れないチビツーにはいつの時も察することが重要なのです。
うーん、座り込みは今までになかったなぁ。不機嫌な表情や発声をするわけではないのですが・・・
とはいえすでに30分以上は歩いています。普段の生活の中で30分もあるくことは稀なので、ちょっと心配になってきました。
このハイキングの目的地である大丸山までちゃんとたどり着けるか?という懸念ももちろんありましたが、それとは別に、ここ一年のチビツーの体力に関しても心配事が一つありました。
それは、「一年前からほとんど体力が変わっていないのでは?」ということ。普段のお出かけの中でも「もう疲れちゃったの?」と思うことがたまにありました。
知的障害により知能の成長はあまり見られないにしても、体の成長は定型発達時(健常児)と変わりません。しかしながらそれに見合った体力になったか、となると疑問符が浮いてきたのです。
この日も、先に結果だけを言ってしまうと歩行スピードなどは一年前とほとんど変わりません。
まぁチビツーの場合、ほとんどの定型発達児の「当たり前」は通用しません。この子はこの子なりのペースで見てあげればよいのですが、体力面に関してはやはり定期的に(ほんのわずかでいいので)負荷のかかる運動をさせたほうが良いのではないかなと思いました。体が大きくなる以上は最低限それを支えられるだけの体力があったほうがいいでしょうから。
まぁ今は、楽しんでくれればそれでいいのです。
試練の階段を抜け、山頂へ!
さて、そうこう思っているうちに大丸山直下までたどり着きました。途中で手をつないで引くような場面もありましたが、基本的には頑張って歩いてくれました。
いよいよ最後の試練の長階段。チビワンしっかりサポートしてくれます。ありがとう!
振り返って。「結構登ってきたなぁ」とでも思っているのでしょうかね。
私もちょっとサポートを(笑)。
「ド真ん中の木」までやってきました。半分は登りましたね。あともう少し!
空が青いぞ!もうすぐだ。がんばれ!
やったー!着きました。がんばったね!
DA PUMPの「U.S.A.」熱が相変わらず冷めない人と、付き合わされた人。
お腹空いたね。ランチにしましょ。
最近はチビツーもヌードルの味を覚えてきたようで・・・
おあずけ状態(笑)
「くれないんかい!」という心の声が聞こえてきそうな表情(笑)
チビツーは本当に汁物が大好きになってしまいました。ここ一年間で変わったものとして、”触感”に続き”食感”です。(ちょっと違うか・・・)
ぐいっと。
お腹も満たされて、一気にご機嫌になりました。
山頂広場の散策を始める、USA代表選手団一行。
ツーショットやった!そういえば、ここ一年で”カメラ目線”も大きく増えたような気がします。
多動ゆえにひと所になかなか留まってくれないので追いかけるのですが、追いかけっこと勘違いして嬉々として逃げてくれますorz
捕まえたら捕まえたでくすぐられると思っているのでもうテンションはMAXハイ!
おかげで最高の笑顔が撮れましたけどね!撮影ありがとうございました。
それでは、機嫌のよい内に(ご機嫌すぎて元気を使い果たしてしまう前に)下山しましょう。
やはり下りは元気!というのは障害児であっても健常児であっても変わらない不変の(普遍の)山あるあるなのでしょうか?
時にはピョンと飛ぶように降りてみたり。
いい笑顔です。
階段を降りきった頃からか、チビツーがザックと背中の間に手を入れ何かを気にしているようでした。何かがチクチクするのかな?とも思ったのですが結局理由はわからず・・・。
しかしながらかなり気にしていて歩く速度すら遅くなってきたので、仕方なくザックは外してあげることにしました。で、なんとチビワンがチビツーのぶんのザックを持ってくれるというのです。
ありがとう!すばらしいですお兄ちゃん。
「ふぃ~、肩の荷が下りたぜ~」と言わんばかりの仕草(笑)
けどこれで背中を気にすることなく歩くことに集中できるようになりました。
楽しそうに(?)歩いてくれると、こちらも変に気を遣う必要もないので山歩きを楽しめます。
気持ちいいね。
時に走り出しては・・・
お兄ちゃんに追いつくように。
分岐路でもきちんとチビワンの後をついていきます。えらいえらい。
チビワンの”欲しいもの”
全体的にフラットとはいえ、わずかながら斜度はあり、復路は比較的下り坂が多いので我が隊の行進もスムーズ。そんな中、チビワンからある要望がありました。
そんな会話をチビワンと楽しみつつ、チビツーも順調にゴールに向かって進みました。
ヘイケボタルの湿地前のベンチで小休止。何やらチビワンが手に持っているようですが・・・
「なに持ってるの?」とチビワン。
ベンチに挟まった葉っぱや枝をほじくり返しては感触を確かめているようでした(笑)
ビートルズトレイルも終盤です。
湿地内の木道を抜けて・・・
抜けたところで、座り込んでしまいました(笑)
まぁ復路も後半を過ぎたし、急ぐこともないので少しだけジャラジャラに付き合いました。
森の家への最後の舗装路に入りあとはひたすらフラットな道を行くだけです。
それでもフワフワ感触は忘れません。
ちょっと疲れてきたかな?
自然公園の森入り口まで戻ってきました。あとは最後の階段を下るだけです。
この写真の直後、またひざをつくポーズを取っていたのですが、もう最後の最後なので頑張ろうと手を引きました。
直に降りてはくれたのですが・・・なにか様子が変なような・・・?
またしても・・・チビツーの顔を覗いてみるとてみると、思いっきり踏ん張ってる表情、まさか・・・うんちか~~!?
完全にコトが済んでスッキリとした表情w
まぁ、森の家のトイレがあったので、うんちを持ち歩かずに済みました(笑)
無事に到着です!お疲れさまでした!
この後チビツーとトイレに直行しました。
おまけ
約束どおりちゃんと上履き洗い、無事にキラキラのレアびーだまをゲットできたのでした。
めでたしめでたし。
振り返って
陣馬山リベンジに向けて最終調整くらいのつもりでいましたが、1年前と比べると体力的にはそれほど変化が無かったかなぁと、少し残念な気もしました。やはり療育園でのリハビリのような運動ではなく、しっかりと体を動かすことを日々やっていかなければならないかなぁと実感したハイキングでもありました。とはいえ、一年前と比べれば精神的には落ち着きを見せてきているのではないかと思います。少しずつ、チビツーのペースで成長してくれればと思います。チビワンも付き合ってくれてありがとね!
- 出発時刻 / 高度: 11:35 / 85m
- 到着時刻 / 高度: 14:16 / 87m
- 合計時間: 2時間40分
- 合計距離: 3.49km
- 最高点の標高: 147m
- 最低点の標高: 79m
- 累積標高(上り): 75m
- 累積標高(下り): 67m