3月末で療育園を卒業したチビツー。4月からは特別支援学校(旧養護学校)へ進学することになりました。新たな環境での新たな生活の中で、少しずつ彼自身のペースで成長していってほしい。親としての願いです。
昨年末以降は再発令された緊急事態宣言も重なり、またもや大きなブランクとなってしまいましたが、新たな生活の幕開けとともに、我々“チーム3人”も新たなスタートを切ることにしました。
向かうは葉山(神奈川県葉山町)にある仙元山。大人の足なら10分もあれば登れてしまう超低山ですが、それでもチビツーにとってはかなりのチャレンジ。果たしてどんな冒険になるのでしょうか。昨年末の大丸山以来のプチ登山です。
目次
仙元山
基本情報
仙元山は神奈川県葉山町にある山(118m)です。三浦アルプスの西端に位置しており、山頂からは相模湾や江の島越しに箱根や丹沢の山々を見渡すことができます。遠望が効くときは富士山も見えます。
バリアフリー情報
自然の中のハイキングコースです。残念ながらバリアフリーは期待できません!
山頂には公衆トイレもありますが、特に女性の場合は利用するのに勇気が必要かもしれません・・・。念のために携帯トイレなどを持参することをオススメします。
お出かけ難易度
難易度:★★★★☆(4)
本格的な登山ほどではありませんが、自然の中のハイキングコースを歩くという負荷のかかる行為です。予測が難しい自閉症の子にとっては色々なリスクが伴うので最悪、抱っこやおんぶをして引き返すことも覚悟しなければなりませんが、達成感は非常に大きいものになると思います。
長柄のコインパーキングからスタート
仙元山近辺には公共の駐車場というものがありません。事前予約のパーキングを除くと、近場にはコインパーキングも2~3ヶ所程度しかなく収容台数も少なめです。何度かこの近辺には来ていますが、その中でも最もアクセスに優れていたのは「三井のリパーク葉山長柄」でした。運よく2台ほど駐車スペースが空いていました。今日はここからのスタートです。
■三井のリパーク葉山長柄
普通車7台収容可能
08:00-20:00 90分/300円
20:00-08:00 90分/300円
最大料金900円
詳細はコチラ。
全開は車の中でパッキング(荷物準備)や着替えを行うことにしていたのですが、思ったより時間がかかってしまいチビツーの機嫌を損ねてしまったので、今回はしっかりと事前準備を行って臨みました。その甲斐もあったのか、出だしは上々です。
交通量のかなり多い道路沿いを歩いていくことになります。縁石のある歩道ですが、小さいお子さんと歩くときには十分注意してください。今回はチビワンに車道側を歩いてもらいました。
路肩の植物に目をやりながらもテクテクと。
ここが仙元山への近道への目印となる階段です。
急ではありますが、階段ならチビツーでも大丈夫。救急車の音に兄弟そろって振り返る(笑)
階段と言ってもせいぜい40段程度(笑)。この階段を抜けると、いよいよ登山道らしい道に突入です。
チビツー初の急勾配と制御不能な衝動
登山道に入りました。チビワンもちゃんとチビツーを意識して振り返ってくれます。
土の匂い、木の匂い、私にとっては心地の良いものですが、雰囲気がガラリと変わった景色にチビツーは何を思ったでしょうか。
はいはーい、ちゃんとパパも後ろから着いてきてますよー
初めての場所というのは、知的障害の有無にかかわらず自閉症の子にとっては少なからず負担がかかるものです。療育園から支援校&放課後デイ施設へと変わり、普段の生活でも大きな変化がありました。
この表情はまだまだ余裕かな?
それでも、最近のチビツーはその環境への順応がとても早くなったように思います。療育園通い始めたばかりの頃を思うとその差は一目瞭然。チビツーにはチビツーなりの成長は、仮に遅くともしっかりあるのです。
今度はチビツーが切り込み隊長を務めてくれました。
勇ましい姿ではあるのですが、この辺りから少し様子が変わってきました。頑張って歩いてくれて入るのですが、慣れない登山道ですし何よりそこそこの勾配があるため、息も上がってきます。
よいしょ!
少々不機嫌な声を出したりするのですが、一向に歩く速度を落としません。まるで何かに取り憑かれたかのような、頭では休みたいと思っているのに体が衝動的に動いてしまうような感じでした。
大きな切り株。少し興味を持って止まってくれれば休憩にもなったんですけどね・・・。
実は以前にもこんなことがありました。自宅にて就寝前に、よく家の中の特定のコースを徘徊するのですが、本来であれば寝る時間。寝ようと促しても一向に徘徊を止める様子がありません。しかし眠いので機嫌はどんどん悪くなるのですがそれでも徘徊するのを止めない。体に対しての頭での制御が効かない状態、そのことを思い出したのでした。
なので、私の手によって強制的に休憩。チビツーはかなり抵抗しましたが、そのうち落ち着いてきて息を整えることもできました。
体力もついて来たし、負荷に対して立ち向かう姿勢も出てきた。けどその制御ができないこともあるチビツー。言語によるコミュニケーションができないということも考えるとかなりストレスになることだと思います。いずれにせよ、今後も要注意ですね。
最後のひと一登りから、山頂へ
さて、登山道は葉山教会からのルートとも合流し、視界も少しずつ広がり気持ちの良い青空が占める割合も増えてきました。もうルートの半分以上は歩きましたね。あともうひと踏ん張りです。
からだ全体を使って登ってるかのよう。がんばれ!
もうゴールとなる山頂の柵の一部が見えてるんですよね。言葉をもって「あればゴールだよ」が伝えられないということは、チビツーにとってはいつ終わるのかもわからない坂道でしかありません。伝えられないというのは、本当に辛いことですね。
西側に目を向けると壮大な相模湾が見えてきましたが、今のチビツーにわき見する余裕はなく・・・。
しかし、いよいよチビツーでもゴールとわかる視界になってしました。あと少し!
山頂でまったりタイム
がんばりました!
仙元山の標高は118m。海抜ほぼ0メートルの地点からのスタートなので、標高差100m越えはチビツーにとって初めての快挙。本当によくがんばりました。ちょっと放心状態の表情?(笑)
とにかくまずは休ませ、ご褒美のおやつ(グラノーラ)を。その間に私はランチの準備です。
素晴らしい眺め!チビワンはすでにマターリモード。チビツーにとって「疲れも吹き飛ぶ」景色となったでしょうか?
山頂には3セット分の木の机と椅子がありますが、子供には少々サイズが大きすぎます。また人気のお山なので混雑すると思いレジャーシートとミニテーブルを持ってきましたが、正解でしたね。
いつもの見慣れたシートとミニテーブルで、チビツーにもようやく落ち着きと笑顔が戻ってきたようです。
チビワンは調理係。本日のランチを一任。
麺類は一人で食べるのはまだまだ困難ですが、スープは大好き♪
「汗をかいた後の山頂カップラーメンの味」チビツーにもわかったかな?
山頂から望む相模湾。春霞でボヤけてしまってはいますが、それでも十分な眺望。
ズームで江の島。実はよく見ると左端に富士山も見えているのです。
こちらは去年の6月、早朝に撮影した写真です。富士山はこの位置です。
こちらもまた別の日の夕方に撮影したものですが、色んな雰囲気を超お手軽に楽しめるのが仙元山の素晴らしいところですね。
そんな仙元山の良さがわかるのかな?チビツーはしばらく景色を見つめていました。
そしてすっかりご機嫌になったところで、この後は山頂を色々探検して楽しむことにします。
チビツーは駆け回り、チビワンはハイジブランコ
ちょっと興奮気味に探検開始(笑)
山頂はチビツーが走り回るのにちょうどよい広さです。
ケタケタ笑いながら縦横無尽に。
他のハイカーさんの視界を遮りながら(笑)
知的障害ゆえにクリエイティブな遊びはできませんが、山頂でできることは限られているので、駆け回って楽しんでくれるならそれに越したことはありません。
楽しいね!^^
一方のチビワンは、山頂から一段降りた踊り場のような場所で、何やら楽しそうなものを発見したようです。
気に結ばれたロープで作られたブランコ。これは楽しそう!なによりロケーション&景色が素晴らしい。まさにハイジブランコ。
チビワンもいい笑顔!^^
山頂には大きな石碑がります。実は以前はこの隣の大きな木にブランコが吊るされていたのですが、最近になって移動したようですね。
ちょっとバチ当たりな気もしますが・・・笑顔に免じて許してもらいましょうか。。。
にぃにを追ってチビツーもやって来ました。チビワンの気配を感じてはいたようですが、見当たらない・・・。
つかまえた!
チビツーは両手で顔を触られるのが大好き。
ケタケタ声を出して喜んでます(笑)
一旦離れても・・・
また!(笑)
楽しいね^^
その笑顔が見れてよかったよ。大満足。
十分に山頂を満喫したチビたち。そろそろ下山しましょうかね。
最後にしっかりと山頂からの景色を焼き付けて・・・
それでは、下山しましょう!
下山は慎重に、でも、元気よく!
山頂直下はすべりやすいというわけでもないのですが、土の下り坂ということでチビツーも初めは少々慎重になっていました。まぁ、これくらいの恐怖はよい緊張感になっているのかもしれません。
ちなみにこの仙元山は普通の運動靴でも何ら問題なく歩けますが、ちびっ子兄弟はCarabanの登山靴を履いています。もうそろそろ半年になりますが、私の中ではなかなかに高評価です。
慣れてきたのか、早速小走りに。。。
けどちょっと不安と言えば不安だったので、後半はチビワンに手を繋いでもらいました。ナイスフォロー!
「子連れ登山あるある」ですが、チビツーも例外ではなく下山はご機嫌♪
シダ系の植物が気になったようで、見かけると触ってその感触を確かめているようでした。周囲に目を向ける余裕も出てきたようですね。
とても勇ましく歩いてくれました。
最後の階段まではあっという間でしたね。
ゲザーン!・・・と思いきや、チビツー仏頂面(笑)
やっぱりコレがいいんだね!
これ、チビワンが離さないんじゃなくて、チビツーが離さないんです(笑)
歩道も仲良く?
やっぱりチビワンいてこそ、お出掛けが成り立ってるんだなぁと改めて思います。
この二人の後ろ姿がとても愛おしく感じた瞬間でした。
無事とうちゃーーーく!
って、チビツーポケットに手を突っ込んだままだよ(笑)
何はともあれ、お疲れさまでした!
振り返って
少しは体力は付いているだろうとは思っていましたが、やはり心配ではありました。今回は体力的な面よりも、メンタル面、特に自閉症ならではの制御しがたい行動が見られ、今までとはまた別の懸念材料が出てきたとも言えなくもないので、今後は改めて対策をしていかなければとは思ったものの、それでも及第点に値する頑張りを見せてくれたなぁと思いました。
暖かくなってきたので、また色々なお山へハイキングに行きたいですね。
新生活がスタートしたチビツーの成長を切に願うばかりです。
- 出発時刻 / 高度: 11:48 / 11m
- 到着時刻 / 高度: 13:41 / 11m
- 合計時間: 1時間53分
- 合計距離: 1.83km
- 最高点の標高: 118m
- 最低点の標高: 9m
- 累積標高(上り): 83m
- 累積標高(下り): 75m
Reliveで山行振り返り(過去最短距離のRelive!?)